Fauna+DeSIGN 一級建築士事務所ファウナ・プラス・デザイン

(0)はじめに

□「犬と住む家」暫定txt版|p01|p02|p03p04p05p06

以下の「犬と住む家」についての文章は、2001年から2005年にかけて、ペット住文化研究家:廣瀬慶二によって書かれたものです。現在、ファウナプラスデザインでは、10年に渡るフィールドワークを元に分析した結果、「犬と住む家の間取り」に関して、当時と異なる「答え」を持っています。基本姿勢は変わりませんが、若干、古い考え方が述べられていることを御理解下さい。最新の事例については、ペットと住む家の工夫(現行サイト内)で読むことが出来ます。

(3)室内環境

■「冬の場合」
犬や猫の正常体温は38℃〜39℃。家の中では暖房が効いていますが、通常の暖房ではあたたかい空気は上に昇ってしまい、犬の立ち位置では人間が思っているよりも室内温度は低くなっています。犬や猫のことを考えると床暖房は必需設備と言えるでしょう。また、床暖房を入れない場合、ペット用のホットカーペットを使用することがあると思います。私どもの場合はon/offができる小型の専用コンセントを壁に埋め込み設置します。さて、あたたかいお部屋は犬や猫にとってありがたいことに間違いはないですが少し問題があります。「シックハウス症候群」という名でご存じだとおもいますが、ホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)とよばれる化学物質が室内空気中に放出されることが原因で、体調が悪くなったりすることがあります。建築基準法が改正され通称「シックハウス法」が施行されてから24時間換気システムと建材の選択が義務づけられましたのでこの問題は徐々に解決されていくと思いますが、それでも100%取り除くのは難しいでしょう。問題とは、部屋を過剰に暖めると、この化学物質の放出量が著しく増大することです。とはいうものの体質が過敏な方以外は(動物を含め)神経質になりすぎるのもどうかと思いますので、建材に気を遣い、過剰な暖房を控え、窓を開けて換気するというあたりまえの事が大切だと思います。もう一つはノミです。冬場でも部屋があたたかいと、お散歩中にもらってきたノミは室内で繁殖します。ノミ自体、人間にとってもイヤなものですが、犬にとってはそれ以上に「犬条虫症」の原因となる瓜実条虫(寄生虫)の中間宿主ですので徹底的に駆除しなくてはいけません。やはり掃除のしやすい部屋がいいですね。もちろんノミを家に持ち込まなければ全く問題ありません。
■「夏の場合」
犬猫にとって室内温度が重要になるのは冬よりも夏です。留守中は普通部屋の窓を閉め切っていますので室内温度はぐんぐん上がります。帰ってきたらワンちゃんが、たくさんのよだれを流し、激しく呼吸をしていたらそれは熱中症です。これはかなり危険な状態です。命にかかわります。住宅性能とペットについて考えるときに、絶対に考慮しなくてはいけない部分です。では、どうしましょう?エアコンを運転させたまま外出するのが一般的になっているようですが、
1)防犯上問題のない「風の道」を計画的に作る。
2)ケージの位置を慎重に決める。
3)屋根の断熱をさらに強化する。
以上の3点を私は重要視しています。これはエコの視点からも効果的です。
1)についてはその土地固有の風の道を設計段階から調べ、給気窓と吹抜けを効率よく設置することで常に室内に風が通り抜けるようにします。また給気側の屋外には植裁をし、緑で冷やされた空気を取り入れます。
2)はプランニングの話ですね。私どもは常にサークルやケージ設置用のニッチ(窪み)をリビングルームに計画するので(当社ではドッグシエスタと呼んでいます)その適切な位置を考えます。
3)は既に断熱している上にさらに熱負荷を軽減する工事をするわけで、私どもの場合は「屋上緑化」で対応しています。屋上緑化はコストがかかったりメンテナンスが大変という先入観があり個人住宅ではあまり普及していませんが、そんなことはありません。当社の設計ノウハウですので詳しくは言えませんが「セダム」という植物と、特種な軽い土を用います。「セダム」というのはサボテンのような、多肉植物で乾燥に強く世話のかからない草です。かわいい花も咲きます。

(4)建材

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